「浙西大峡谷」−風光明媚な観光地の工場排水汚染

環境NPO訪中同行レポート

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・浙江大学 環境・資源学部へ訪問

 ■訪中NPOのご紹介

 ■浙江大学とは

 ■学生との質疑応答

 

 

・「浙西大峡谷」−風光明媚な観光地の工場排水汚染

(その1)

 ■環境NPOが現地新聞に

 ■発端

 ■浙西大渓谷の「生態開発」

  とは

 ■現場に入る−白濁した

  河川

(その2)

 ■蛍石加工工場

 ■環境NPOと市の提案

 ■環境行政のジレンマ

 ■この村唯一の工業

 ■中国の開発と環境問題とは

 

・「西湖ビオトープ」再訪

 ■西湖ビオトープの視察

 ■水質の改善

 ■今後の西湖総合保護工程

 

 

・「石門鎮」−エコロジカルなまちづくりへ

 
















































 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





(注1)
この青年時報の記事の日本語訳が環境NPOサイトにあります。

http://www.xitong.net/

jceco/ns031127.htm






























(注2)

この記事は、新華網(出所・青年時報)にあります(中国語)

http://www.zj.xinhuanet.com/

newscenter/2003-11/12/content_1184791.htm

環境NPOの訪中スケジュール

11/16

杭州着

11/17

浙江環境資源技術研究開発センター構想紹介

浙江大学(環境与資源学院)訪問・講演等

11/18

西湖湖西総合保護工程視察

臨安市浙西大峡谷工場排水現場視察

11/19

桐郷石門鎮生態工程視察、石門鎮懇談会

 

■蛍石加工工場

 

 蛍石加工工場は、我々が視察した浙西大渓谷の河川よりも、さらに上流の新橋郷という農村に位置しており、悪天候のため、環境NPOのうち5名と臨安市環境保護局、同行していた青年時報の記者1名が、その工場へ向かいました。

 私は水処理関係が専門ではないため、工場には向かうことができませんでしたので、以下のレポートは、NPOのメンバーの話や後日の新聞記事を元に構成しました。(このページの写真は日本エルダルト(株)の浅川氏よりご提供頂きました)

 

蛍石加工工場 袋詰めされたフッ化カルシウム

蛍石加工工場

袋詰めされたフッ化カルシウム

 

 

 以下の写真は、蛍石加工工場の残さの堆積所。新聞では「沈殿池」と表現されていますが、そう見えないのでとりあえず堆積所と呼んでおきます。 残さが写真中央部分に高く積み上げられています。左奥の壁の一部が欠けており、そこから残さが流出しているようです。新聞によると、この欠けている部分は2mほどです。

 

蛍石加工工場 残さの堆積所蛍石加工工場 残さの堆積所2

 

 

 

 

 

 

 

 

 下の写真は、残さが河川へ流出している現場です。河面いっぱいに、青灰色の残さが広がっています。

 

蛍石加工工場 残さの流出現場

 

 

■環境NPOと市の提案

 

 この時、現場を視察した環境NPOのメンバーの一人が、凝集剤を日本から持ってきており、これを使い、残さを固化させて見せ、この固化した残さを舗装材等の建材用途へ再利用することを示唆しました。

 最終的な環境NPOの改善提案は、残さ堆積所を河から移動させ、残さは埋め立てるか、建材利用を進めるというものです。

 

 さて、後日の青年時報の記事によると、同行していた臨安市環境保護局は、直ちに操業停止を命令。さらに、この壁を改修し、確認検査に通らない限り操業は認めないと通告。残さの処理に関しては、「以前から埋め立てとセメントの混合剤としての案があったが、埋め立てでは、(この辺りは)農地が多く、地下水汚染の恐れがあるため、場所の選択が難しかった。残さの建材への利用については、実証試験が必要で、その後実施する」と述べています。(注1)

 

 

■環境行政のジレンマ

 

 さて、臨安市環境保護局の対応をまとめると、加工工場に対し操業停止、その後残さ堆積所の壁を直すことで、再操業を認める。さらに残さの埋め立ては地下水汚染の懸念があるため難しく、建築材料への再利用は今後の課題となります。

 これは、環境NPOの提案した、河川から堆積所(沈殿地)を離して設置する、残さについては埋め立てを行うか、建材等への再利用を行うという対策とは次元が異なり、抜本的な対策とはなっていません。

 環境行政が、抜本的な対策を指示できない背景には何があるのでしょうか。

 

 

■この村唯一の工業

 

 前回紹介した11月12日付けの新聞によると、この工場のある新橋郷の主要産業は農業で、胡桃が特産物。依然として村民の3分の2の生活は貧しい。この村の唯一の工業が蛍石採掘・加工であり、付近の村民の多くが関連する労働に従事、その最高月収は、1000元(14000円・1元14円で計算)に達し、少ない者で5、600元の月収になり、これは、この村としては相当な金額であるといいます。(注2)

 

 つまり、村にとって、唯一の工業であり、雇用の確保ができる工場の存在価値の高さは言うまでもありません。この地域や工場に限って言えば、河の水よりも蛍石の方が大事なのかもしれません。

 

 さらに、セメント混入の再利用事例は聞いたことがあるが、交通が不便な場所で、輸送コストが高くつくため、取りに来る人間はいないだろうとのことです。その結果、残さが溜まりに溜まり、袋小路に入ってしまったわけです。

 

 

■中国の開発と環境問題とは

 

 後から聞いた話では、浙西大渓谷は99年頃の開発当時の水は大変美しかったそうです。その後、この水が濁りはじめた原因は、この蛍石加工工場の他に、実は、「ダム開発」があります。この工事の際に出る土砂も濁りの原因の一つのようで、生態旅遊を売りにする浙西大渓谷開発公司では頭の痛い問題のようです。

 

 この浙西大渓谷は、国家自然保護区にあり、生態旅遊景区でもあります。この景観を生かしたエコ・ツアーが人気を集める中、その上流に村唯一の工業があり、さらにダム建設が進められている。

 

 今回の視察では、同時に現れてきた中国の「開発・発展」と「自然保護」のせめぎ合いの縮図を見る思いです。さらに言えば、現在の中国の経済的豊かさのための上昇志向は法律をも超えているかのようで、そこに中国の環境問題の難しさを見た気がします。

 

 

(03/12/01)

 

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